十日町 |「むこ投げ」「すみ塗り」雪深い土地で続く、めずらしいお祭り

十日町 |「むこ投げ」「すみ塗り」雪深い土地で続く、めずらしいお祭り

新潟県のなかでも屈指の豪雪地帯として知られている、十日町市松之山温泉。この地域に伝わる冬の伝統行事が「むこ投げ」と「すみ塗り」です。「越後の奇祭」とも呼ばれる2つの伝統行事を一目見ようと、毎年多くの人が訪れています。また、豊かな効能で知られる松之山温泉も有名です。おまつりと温泉を楽しみにでかけませんか?


山間の小さな温泉地は四季を通して魅力がたくさん

写真提供:(一社)十日町市観光協会

新潟県中越地方に位置し、周囲を山に囲まれた十日町市松之山温泉。春から秋にかけては、「にほんの里100選」に選ばれた美しい棚田が眺められます。冬には積雪が3メートルを超えることもあり、日本有数の豪雪地帯としても広く知られています。

また、1千万年前の化石海水が温泉として湧き出しているといわれる源泉は、日本三大薬湯にも数えられるほどの名湯としても有名なんですよ。

この地域で冬になると行なわれているのが、「むこ投げ」と「すみ塗り」の2つの伝統行事。長い間大切に守られてきた行事は冬の風物詩として、地元の人はもとより、市外からも毎年多くの観光客が見学に訪れています。

夫婦の絆が深まる「むこ投げ」

写真提供:(一社)十日町市観光協会

「むこ投げ」とは、前の年に結婚した男性(むこ)を、高さ5メートル以上ある崖の上から投げ落とすという、聞いただけでびっくりなお祭り。その昔の略奪婚の名残りで、集落の娘をとられた腹いせが形を変えたものだそうです。今ではそれが通過儀礼的な要素になって続けられている、300年もの伝統ある行事なんですよ。

写真提供:(一社)十日町市観光協会

むこ投げが行なわれるのは毎年1月15日の午後。温泉街から会場となる薬師堂まで、地区の男性が参加するおむこさんを担いで進みます。実はこの道、とても急斜面なだけでなく雪も積もっていて、歩くのはとても大変。おむこさんを落とさずに薬師堂まで行かなければなりません。

薬師堂に到着すると、いよいよむこ投げが始まります。担ぎ手の掛け声とともに、5メートル以上の高さから投げ落とされたおむこさんは、雪の上を転がり、お嫁さんが待つ崖の下に。

5メートルの高さから落とされるおむこさんの体が心配になりますが、そこは豪雪地域。厚く積もった雪がクッションになり、けがをすることはないのだそう。投げ落とされ、雪のなかから出てくるおむこさんをお嫁さんが助けることで、夫婦の絆も深まるといわれています。ほほえましい新婚夫婦の姿を、見物客が優しく見守ります。

真っ黒になるほど、お祝い効果がある「すみ塗り」

写真提供:(一社)十日町市観光協会

むこ投げの後に行なわるのが「すみ塗り」という行事です。稲わらなどでつくった塔のもとに、お正月に飾った門松やしめ飾り、書き初めなどを持ち寄り、神主さんへ祈りを捧げた後、火をつけ無病息災を祈る賽の神を行ないます。賽の神とは、雪国の小正月行事のことです。

すみ塗りは、賽の神の火が燃え尽きると始まります。賽の神でできた灰と雪を混ぜてつくったすみを、「おめでとう」と言いながら、誰かれとなくお互いの顔に塗りあうのです。

写真提供:(一社)十日町市観光協会

黒く塗られれば塗られるほど、お祝いの効果が高まるといわれています。最初は戸惑っていた人も、いつのまにか笑顔になり、みな真っ黒な顔に。越後の奇祭と呼ばれる理由が分かりますね。

お祭りの後は、日本三大薬湯で知られる松之山温泉を満喫しよう

写真提供:(一社)十日町市観光協会

黒くなった顔は、せっかくなら温泉に入って洗い流しましょう。

松之山温泉は、草津温泉、有馬温泉と並んで、日本三大薬湯のひとつに数えられ、効能豊かな温泉として知られています。温泉の歴史は古く、今から700年ほど前にさかのぼります。塩化物泉の温泉は、湯冷めしにくく、湯上り後はいつまでもぽかぽかと温かさが保たれると言われています。

また、風呂上がりは、つるつるしっとりした肌に。松之山温泉には、女性にはうれしい美肌効果もあるのだとか。

写真提供:(一社)十日町市観光協会

現在、松之山温泉街には10軒の旅館と、1軒の日帰り温泉施設「鷹の湯」があります。日帰り温泉施設の「鷹の湯」があるのは、温泉街のほぼ中ほど。こちらは、男女別の内風呂と露天風呂があります。少し小さなスペースですが休憩室もあるので、風呂上がりに休むこともできますよ。

宿泊して、お祭りと温泉と地元グルメを堪能しよう

日帰りで温泉を楽しむのもいいのですが、せっかくなら宿泊して温泉を満喫してみてください。どの宿も個性的で魅力にあふれています。

温泉街のなかほどにある「ひなの宿ちとせ」は、雪見風呂が楽しめる露天風呂が有名。館内は廊下も全て畳敷きなので、靴下のままで過ごせて、小さなお子さん連れの人からよろこばれています。

宿の楽しみといえば、お料理もそのひとつ。松之山温泉の各旅館でいただけるのが地元でとれた棚田米を使った「棚田鍋」です。コシヒカリの重湯をベースにしたトロトロの鍋に、地元のブランド豚・妻有ポークや新潟地鶏、旬の食材を使った鍋料理です。

鍋に添えられた大根おろしは、棚田に降り積もる雪をイメージした冬期のメニュー。それぞれの宿でアレンジを加えていて、「ひなの宿ちとせ」では、四季折々の棚田の風景を、旬の食材によって鍋で表現していて、年間を通して食べられるメニューなのだそう。これはぜひ泊まって、食べてみてくださいね。

松之山温泉でしか味わえない料理は他にもあります。妻有ポークを63~68度の温泉に3時間ほどつけて低温調理した「湯治豚」も、松之山温泉を代表する地元グルメ。

なかはロゼ色ですが、熱はしっかりと通っていて、噛むと肉の旨味がじゅわ~っと口のなかに広がります。こちらも温泉旅館で食べられるので、宿泊がオススメです。

雪国らしい遊びも体験しよう!

写真提供:(一社)十日町市観光協会

松之山温泉街から少し離れた場所にある美人林は、全国的にも有名なブナの森。約3ヘクタールの広大な敷地に、スラリと伸びたブナ林が広がります。春の新緑や秋の紅葉も美しいのですが、特に白銀に染まった冬の美人林はとても幻想的な光景です。

最近話題になっているのが、スノーシューでの美人林の散策。美人林は約3メートルもの雪が降り積もるため、雪の上でも歩きやすいのが、西洋式の歩行具・スノーシューなのです。

スノーシューでのツアーも開催され、宿泊した旅館で受け付けています。静寂な森を歩くだけで、気持ちもすがすがしくなりますよ。時には野うさぎの足跡を見つけることもあるとか。冬ならではのレジャーも楽しみたいですね。

「むこ投げ」「すみ塗り」をもっと楽しむ、ななびチェック

「すみ塗り」に参加するなら汚れてもOKな服装で

「すみ塗り」の会場では、誰かれとなくお互いの顔にすみを塗りあいます。黒く塗られれば塗られるほど、お祝い効果があるといわれているので、汚れてもいい服装で参加してください。

防寒対策はしっかり!

「むこ投げ」「すみ塗り」とも、屋外で行なわれます。午後から夕方にかけての行事のため、防寒は欠かせません。

駐車場スペースが限られているので、早めの到着がオススメ

松之山温泉共同の駐車場がありますが、台数が限られているため、早めに向かうのがオススメ。温泉街には土産物屋飲食店もあるので、イベント前に散策するのも楽しいですよ。

「むこ投げすみ塗り」について詳しくはこちら
「ひなの宿ちとせ」について詳しくはこちら

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